あらすじ

友人とエビフライパーティーをしている静岡スミコはふと思う。自分の感覚がいつの間にかひどく曖昧なものになっている。何が猛烈に好きで何が耐え難く嫌いか、何を面白く思っていて何を喋りたいのか、そのどれをもちっとも感じられないまま人生を過ごしてしまっていると。

それからのスミコは自分と会話しながら日々を過ごす。

登場人物・キャスト

スミコ/堀春菜

本作の主人公。

大学を卒業して入社した会社を4ヶ月でやめ、新生活の中で、自分がたしかに思っていることを たしかに思っているな と思いながらすごそうとしている。

<堀春菜プロフィール>
1997年生まれ、神奈川県出身。
2014年、映画『ガンバレとかうるせぇ』(佐藤快磨監督)主演でデビュー。
2016年、映画『空(カラ)の味』(塚田万理奈監督)で第10回田辺・弁慶映画祭 女優賞。
以降、『大観覧車』(ベク・ジェホ、イ・ヒーソップ監督)、『万引き家族』(是枝裕和監督) 、『浜辺のゲーム』『珊瑚樹(『21世紀の女の子)』(夏都愛未監督)、『わたしの見ている世界が全て』(佐近圭太郎監督)、LIVE STAGE「ぼっち・ざ・ろっく!」(山崎彬演出)などに出演。


はな/はまださつき

スミコの同居人。


涼森/松尾渉平

スミコの大学時代の先輩。


たつや/樹

スミコの大学時代の友人。


やま/安楽涼

スミコのバイト先のピザ屋の店長。


ミオ/梶川七海

スミコのバイト先の同僚。


雪乃/イトウハルヒ

スミコのバイト先の常連さん。


今川/川本三吉

スミコのバイト先の常連さん。


豊/遠藤雄斗

香苗/瀬戸璃子

スミコが道端で出会うカップル。


森/中川友香

コンビニの店員さん。


白スキニーさん/安川まり

白スキニーをはいた女性。


リコーダー男/原恭士郎

リコーダーを吹いている男性。


長谷川/黒住尚生

スミコの学生時代の同級生。


真野/東宮綾音

スミコの大学時代の同級生。


木村先生/木村知貴

スミコの大学時代のゼミの先生。


声/工藤祐次郎

音楽・主題歌

ゴリラ祭ーズ

滋賀発の3人組エクストリームアンニュイスーパーウルトラポップバンド。

リコーダーや鍵盤ハーモニカを中心に、最近は歌も歌っている。

ギター担当古賀さん、鍵盤ハーモニカ担当舩越さん、リコーダー担当平野さんで構成される。

主題歌
「日記」
作詞・作曲:古賀礼人
演奏:ゴリラ祭ーズ

脚本・監督

福岡佐和子

創作ユニットしどろもどリのかたほう。

1999 年生まれ。千葉県出身。サーモンとおこげが好き。最近、アボカドとパクチーも好き。日本大学芸術学部シナリオ専攻を卒業して2年経った。前向きでいたい。

企画・制作

しどろもどリ


日本大学芸術学部 演劇学科のはまださつきと 映画学科の福岡佐和子のふたりがつくった創作ユニット。
2018年12月13日木曜日にろう下にて結成。
素敵だと思うことを素敵だと言いたい!愛しい瞬間を捕まえたい!と、
なんでも創作せんとする 日常系しりめつれつな2人組です。

《フィルモグラフィー》
私の好きなこと』(2020/4 分)…第 16 回 J C F 学生映画祭入賞、松竹リモート映画祭グランプリ候補作品に選出
トエユモイ』(2021/58 分)…第 32 回東京学生映画祭 審査員特別賞 受賞
『スーツと私服と昨日のカレー』(2021/4分)…第4回フェローズ・フィルム・フェスティバル -S 優秀賞 受賞
まだ君を知らない』(2022/97 分)…福井映画祭 15TH 長編部門観客賞 受賞、おおぶ映画祭2023入選
おうちはお城』(2022/3 分)…第 11 回3分映画宴 審査員特別賞 受賞

スタッフ

監督・脚本・編集:福岡佐和子

助監督:はまださつき

制作:原恭士郎

撮影・グレーディング:中村元彦

録音・整音:堀内萌絵子

録音助手:稲生遼

制作応援:藤咲千明

スタイリスト:大場千夏

スチール:新藤早代

プロデューサー:髭野純

製作・配給:イハフィルムズ

企画・制作:しどろもどリ

メッセ―ジ

福岡佐和子(脚本・監督)より

はじめまして。映画『スミコ22』の監督をつとめました 創作ユニット しどろもどリの福岡佐和子です。

この映画は私が大事に思っていることたちは何か、それを日々に対してどう折り合いをつけていくかということを思いながらかきました。

私は昨年の3月に大学を卒業し、正社員として働きはじめました。しかし、就職してからしばらく、いつもなんとなく悲しくて気を抜くとわんわん泣いてしまう日々が続きました。それは、今思えば、自分が自分の在り方として納得できないことを続けていることや、どんどん自分の気にいっている自分から離れていっている感覚からきていたものだったと思います。

仕事を辞めて、新しいアルバイトに慣れてきて、生活が成り立たなくなることへの不安から解放されたころから、大学に入ってすぐのときと同じくらい日々の中でゆっくり丁寧に自分と話し合うことができました。そして、作中のスミコと同じように自分の感覚に対して猛烈に不安になりました。ひと昔前まで、私自身の中にある猛烈な「好き」がすごくはっきりしていて、作品を見ていても「これはすごく良いけど好きではないな」とか「超ダイレクトにめちゃくちゃ好き」とかパッと感じられていたのに、その「好き」の範囲がちょっとずつ広がっている気がする恐怖があったり、自分が何を作りたいと思っているのかわからなくなっていたり。

そんな時にゆっくり見つかっていった、自分にとって大事なことや好きだと思っているものがこの映画につめられているんじゃないかと思います。例えば、私は世界のことよりも個人のことに興味があるなということ。どんな小さなことでも、全く自分と違う意見であっても、誰かが心から思っている本音に興味があるなということ。素敵だと思える人が存在していることと、それを素敵だと心から思えている事実に救われているということ。他人との距離に一歩踏み込むことの難しさ、踏み込めたときの嬉しさ。日常は全然ドラマチックではないし、考えることはくるくる変わるし、すごく楽しいかと思えばすぐどうしようもなくなったりするけれど、やっぱり日常はありがたいなあということ。あとは自分が何にドキドキしているか、ということ。

この映画は、私の8月後半から9月の誕生日までの日記がベースにあります。ベースにはありますが、スミコという私ではない22歳の女の子が、23歳になるまでの15日間、自分が何を考えながら生活しているのかを感じ取ろうとするお話です。日常の中に紛れ込んでいる“とびきり”を大事にしたいと思いながら作りました。どうぞ楽しみにしていただけると嬉しいです。

はまださつき(はな役・助監督)より

こんにちは、さわこちゃんと一緒にしどろもどリをやっております、はまださつきです。

この映画は、さわこちゃんの日記がもとになっています。

私はさわこちゃんのことがめちゃくちゃ好きです。さわこちゃんと出会ってからだいたい6年、一緒に暮らしてだいたい一年半になりますが、めちゃくちゃおんなじだなー、と思うところと、めちゃくちゃ違うな―と思うところが同じくらいの量あるなと感じています。さわこちゃんは私の人生の中で最も仲の良い友だちなのですが、こんなに仲良いのにおんなじ度合いが五割とかなのちょっと意外だよなあと思います。

それから、私はとても人のことが好きです。天気や動物や神様や偶然は世界にたくさんの影響を与えてくれますが、世界を動かしているのは人だけだよなあとよく思うことがあります。月並みですが、いろんな人がいるから世界って回ってるんだよなあ、と。

そして人と関わるとき、自分と相手の同じところを探して共感して理解するのも楽しいけど、自分にはよくわかんない相手の価値観を賛同はそんなにしないままめっちゃ好きと思ってたいなって思います。

それと同時に、自分は一体何を感じながら生きているのか、ちゃんと無視せず感じていたいなとも思います。

私はスミコの思っていることや行動のこと、分かると思うのと分からないなと思うのが、やっぱり五分五分くらいでした。でもスミコのことがめっちゃ好きです。スミコのこと分かる度合いが8割の人にも2割の人にも、スミコのこと好きになってもらえたらいいなと思います。

それからできれば『ナナコ31』とか『ユウスケ18』とか『タエ72』とか観たいし、『サツキ24』も観てほしい。

この映画をみた人が、スミコの持っている感覚に触れて、帰り道に自分が何を感じながら生きているのか、じっと考えることができる、そんな映画になっていたらいいなと思っています。

堀春菜(スミコ役)より

初めてしどろもどリの2人に会った時、自己紹介をしてくれた。和室と竹が好きです、とか、うさぎ年でおとめ座なのがいいなと思ってます、とか。自分の好きなものを好きだと認識して伝えられるっていいなって思った。「スミコ22」を一緒につくって、確固たる世界を持つように見える2人もこのむずかしい世の中に存在する理由を考えて考えて、好きになれるポイントを見つけようとしているんだなと思った。

生きていると色んな事があって自分じゃどうしようもないことも、今日の自分ちょっと好きだったなと思う時もあるけれど、「さわこちゃん」「さつきちゃん」と呼び合う2人の近くにいて感じたのは、こんな時間があるなら大丈夫だなってこと。

「スミコ22」が誰かにとって愛おしく、なんか今日美味しいもの食べて帰ろーってなる作品になっていたら嬉しいけど、私はもう、しどろもどリの2人にとって好きな作品になっていたらそれでいいやとも思う。あ、でもやっぱりたくさんの人に観てもらえたらもっといいね!

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